こんにちは。
資産形成に励んでいるFP2級のテツです。
資産運用を始めるにあたって、「新NISA」と「iDeCo」のどちらが自分に合っているのか迷う方は多いのではないでしょうか?
両者は税制優遇制度がある点で似ていますが、対象年齢や投資枠、商品、税制メリットなどに違いがあります。本記事では、新NISAとiDeCoの違いを初心者向けにわかりやすく解説し、最後にどちらがおすすめかもお伝えします。
新NISAとiDeCoの対象年齢について
新NISAの対象年齢
新NISAは、18歳以上であれば誰でも利用可能です(2023年以降は成人年齢が18歳に引き下げられています)。若年層から高齢者まで幅広い世代が利用できる制度です。
iDeCoの対象年齢
一方、iDeCoは、20歳以上65歳未満の公的年金加入者が利用可能です。ただし、職業や年齢によって加入条件が異なる場合があります。
- 企業型年金加入者:一部制限あり。
- 60歳以上:加入できる条件が限られる(2022年5月以降は65歳未満まで加入可能になりました)。
ポイント
新NISAは年齢に制限がほぼないため、どのライフステージでも利用可能。一方、iDeCoは老後資金を目的とした制度であり、対象年齢が限定されています。
新NISAとiDeCoの投資枠について
新NISAの投資枠
2024年から始まる新NISAは、年間の投資枠が合計360万円に拡大されます。これには以下の2つの枠が含まれます:
- 成長投資枠:年間240万円
- つみたて投資枠:年間120万円
また、非課税で運用できる期間に制限がなく、生涯投資枠1,800万円(うちつみたて投資枠1,200万円)まで利用可能です。
iDeCoの投資枠
iDeCoでは、毎月の掛金の上限額が決まっており、職業によって異なります。以下はその例です:
- 会社員(企業型年金なし):月23,000円(年間276,000円)
- 会社員(企業型年金あり):月12,000円~20,000円
- 自営業者:月68,000円(年間816,000円)
iDeCoは積立型の運用が基本で、年間の投資枠は新NISAより小さいのが特徴です。
ポイント
短期間で多くの資金を運用したいなら新NISA、コツコツと長期的に積み立てるならiDeCoが適しています。
新NISAとiDeCoの対象商品について
新NISAの対象商品
新NISAでは、以下のような多様な金融商品に投資できます:
- 株式(国内・海外)
- 投資信託(アクティブ型・インデックス型)
- ETF(上場投資信託)
成長投資枠では比較的リスクの高い商品が選べる一方、つみたて投資枠では金融庁が選定した低コストで安定性のある投資信託が対象です。
iDeCoの対象商品
iDeCoでは、老後資金の運用が目的であるため、選べる商品は新NISAよりも制限があります。具体的には以下の通りです:
- 定期預金
- 保険商品
- 投資信託(国内外株式・債券型)
リスクを抑えた商品が多く、運用の自由度は新NISAより低めです。
ポイント
リスク許容度や運用期間によって、選ぶべき商品が異なります。幅広い商品から選びたいなら新NISA、安定した運用を重視するならiDeCoが適しています。
新NISAとiDeCoの税制メリットについて
新NISAの税制メリット
新NISAの最大のメリットは、投資で得られる利益が非課税になることです。通常、株式や投資信託の売却益や配当には約20%の税金がかかりますが、新NISAではこれが完全に免除されます。
- 非課税の対象:売却益、配当金、分配金
- 非課税期間:期間制限なし
iDeCoの税制メリット
iDeCoには以下の3つの税制メリットがあります:
- 掛金が全額所得控除される:所得税と住民税の節税効果が期待できます。
- 運用益が非課税:新NISA同様、運用で得られる利益に税金がかかりません。
- 受け取り時の控除:一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金として受け取る場合は公的年金等控除が適用されます。
ポイント
新NISAは運用益が非課税となる一方、iDeCoは掛金の所得控除があるため、現役時代の節税効果が期待できます。
運用期間の違い:新NISAは自由、iDeCoは老後専用
新NISAの運用期間
新NISAは非課税期間が無期限となり、以前のNISA制度(非課税期間が5年または20年)の制約がなくなりました。このため、自分の資金計画に合わせて自由に運用期間を設定できるのが特徴です。
- 例:30代で新NISAを始め、50代で資金を引き出して子どもの学費や住宅購入に充てることも可能。
iDeCoの運用期間
iDeCoは老後資金を目的とした制度であるため、基本的に60歳までは資金を引き出せません(2022年5月の法改正により、65歳まで加入可能になりましたが、引き出し可能年齢は変わりません)。
- 例:40歳でiDeCoを開始した場合、最低20年間は積み立てた資金を動かせません。
ポイント
新NISAはライフステージに合わせた柔軟な資金計画が可能。一方で、iDeCoは長期的な運用を前提にしているため、計画的な資産形成が必要です。
資金引き出しの柔軟性:新NISAの自由度が高い
新NISAの引き出しルール
新NISAは、非課税期間内であればいつでも自由に資金を引き出せます。投資初心者にとって「急な出費があったときに対応できる」点は大きな安心材料です。
- 例:医療費や急な転職での生活費の補填に利用可能。
iDeCoの引き出しルール
iDeCoは原則として60歳まで引き出せません。さらに、受け取り方法にもルールがあり、一時金として受け取る場合や年金形式で受け取る場合、それぞれに税制が異なります。
- 一時金:退職所得控除が適用される。
- 年金形式:公的年金等控除が適用される。
注意点
iDeCoの資金は老後のためにロックされるため、予期せぬ出費がある場合には対応できません。そのため、短期的な資金ニーズがある方には新NISAのほうが適しています。
手数料の違い:iDeCoには維持コストがかかる
新NISAの手数料
新NISAは、利用する証券会社や金融機関によって手数料が異なりますが、一般的に初期費用や維持費用はほとんどかかりません。投資信託などの運用商品の信託報酬が発生する程度です。
- 信託報酬の目安:年率0.1%~1.0%程度(商品による)
iDeCoの手数料
iDeCoでは、以下のような手数料がかかります:
- 加入時手数料:国民年金基金連合会への初回登録費用(約2,829円)
- 運用期間中の手数料:国民年金基金連合会への維持費(毎月105円)+金融機関の手数料(毎月50円~数百円)
- 給付時手数料:受け取り時の手数料(金融機関による)
ポイント
新NISAは基本的にコストを抑えて運用できるのに対し、iDeCoは維持費用がかかるため、長期的なコスト計算が必要です。
新NISAとiDeCoは併用できる?
結論として、新NISAとiDeCoは併用が可能です。
併用のメリット
両方の制度を活用することで、以下のような効果が期待できます:
- 新NISAで短中期の資金運用を行い、必要なときに引き出す。
- iDeCoで長期的な老後資金をコツコツと準備する。
併用の注意点
- 投資額のバランスを考える必要がある。新NISAとiDeCoのどちらにも資金を割り振るため、生活費や他の貯蓄に影響が出ないよう計画的に行うことが重要です。
- 税制メリットを最大限活用するには、所得状況や資金ニーズを把握することが不可欠です。
実際に利用している人の事例
ケース1:30代会社員Aさん(家族あり、年収500万円)
- 目的:子どもの教育資金と老後資金を同時に準備。
- 選択:新NISAでつみたて投資枠を活用し、教育資金を運用。iDeCoで老後資金を積み立て。
- 結果:新NISAで得た利益は非課税のため、予定していた学費の準備がスムーズに進行。iDeCoでは所得控除を活用して毎年約3万円の節税ができた。
ケース2:40代自営業者Bさん(独身、年収800万円)
- 目的:リタイア後の生活費を確保しつつ、中期的な資金運用も行いたい。
- 選択:iDeCoで月額68,000円を積み立て、新NISAで成長投資枠を活用して株式投資を実施。
- 結果:iDeCoの節税効果で所得税・住民税が大幅に軽減。新NISAではリスクを抑えつつも利益を得ることに成功。
投資初心者には新NISAとiDeCoどちらがおすすめ?
結論から言うと、目的やライフステージによって選択が異なります。
新NISAが向いている人
- 自由度の高い商品で運用したい人
- 老後資金以外の目的で資産運用を考えている人
- すぐに資金を引き出せる制度を求めている人
新NISAは非課税期間が無期限であり、柔軟に運用できる点が大きなメリットです。また、資金を途中で引き出せるため、老後以外の目的にも活用できます。
iDeCoが向いている人
- 老後資金を確実に準備したい人
- 現役時代の所得控除による節税効果を重視する人
- 長期的にコツコツと資産を積み立てたい人
iDeCoは老後資金を目的とした制度であるため、60歳まで引き出せない制約がありますが、節税効果が高く、確実な資産形成に向いています。
まとめ
新NISAとiDeCoは、どちらも優れた税制優遇制度ですが、対象年齢や投資枠、対象商品、税制メリットに違いがあります。
- 短期的な資産運用や幅広い投資を考えるなら新NISA。
- 老後資金を目的とし、節税効果を最大化したいならiDeCo。
投資初心者の方は、まずは自分のライフプランや目的を明確にし、どちらの制度が適しているかを判断することが大切です。
資産運用を始める一歩として、新NISAやiDeCoを活用して、将来に向けた準備を進めましょう。
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