資産運用を始める際に、「投資信託」と「ETF(上場投資信託)」のどちらを選ぶべきか悩む人は多いです。どちらも分散投資ができる優れた金融商品ですが、仕組みや運用方法、コストなどに違いがあります。
本記事では、投資信託とETFの違いを初心者向けにわかりやすく解説し、それぞれのメリット・デメリット、人気商品、税制の違いを紹介したうえで、「初心者におすすめなのはどちらか?」を考えていきます。
投資信託とETFの仕組み
まず、それぞれの基本的な仕組みを確認しましょう。
投資信託とは?
投資信託(ファンド)は、運用のプロ(ファンドマネージャー)が投資家から集めた資金を運用し、利益を分配する仕組みです。
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購入方法:証券会社、銀行などを通じて購入。
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価格決定:1日に1回、基準価額(NAV)が決まり、その価格で取引。
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運用方法:インデックス型(市場の指数に連動)とアクティブ型(市場平均を上回る運用を目指す)がある。
ETF(上場投資信託)とは?
ETFは、投資信託の一種ですが、株式市場に上場しているため、株と同じようにリアルタイムで取引できるのが特徴です。
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購入方法:証券取引所で株式と同じように売買。
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価格決定:市場の需給によってリアルタイムで変動。
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運用方法:主にインデックス型が多い(例:日経平均やS&P500に連動)。
売買の仕組みの違いをもっと詳しく!
投資信託とETFは、売買方法が根本的に異なる点が大きな違いです。
項目 | 投資信託 | ETF |
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売買場所 | 証券会社、銀行など(店頭) | 証券取引所(株式と同じ) |
取引時間 | 1日1回、基準価額が決定 | 市場の取引時間内ならリアルタイムで売買可能 |
価格決定方式 | 1日の終わりに基準価額(NAV)が決まる | 需要と供給に応じて常に価格が変動 |
売買方法 | 基準価額で購入(指値・成行注文は不可) | 指値・成行注文が可能 |
例えば、投資信託は毎日1回の基準価額(NAV)で売買されるため、価格変動の影響を受けにくいです。一方で、ETFはリアルタイムで売買できるため、相場を見ながらタイミングを狙うことができます。
市場流動性とスプレッドの影響
ETFは市場で売買されるため、流動性(取引のしやすさ)に影響を受けます。
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流動性が低いETFは、売買時の価格差(スプレッド)が広がり、思った価格で取引できないことがあります。
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投資信託は市場での需給に関係なく、基準価額で売買できるため、流動性リスクがありません。
➡ 初心者には流動性を気にしなくていい投資信託の方が安心です。
投資信託とETFのメリット・デメリット
投資信託のメリット
✅ 少額投資が可能(100円から積立できるものも)
✅ 自動積立ができるため初心者向き
✅ 価格変動を気にせず購入できる
投資信託のデメリット
❌ 手数料がやや高め(信託報酬など)
❌ 売買のタイミングを自分でコントロールできない
❌ リアルタイム取引ができない
ETFのメリット
✅ 手数料が安い(信託報酬が低め)
✅ リアルタイムで売買できる
✅ 分配金を受け取れる(ものによる)
ETFのデメリット
❌ 少額投資がしにくい(単元株の購入が必要)
❌ 自動積立ができない証券会社が多い
❌ リアルタイムの価格変動を意識する必要がある
投資信託とETFの人気商品トップ3
それぞれの代表的な商品を見ていきましょう。
投資信託の人気商品トップ3
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eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
→ S&P500に連動する低コストのインデックスファンド。 -
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
→ 全世界の株式に分散投資できる人気ファンド。 -
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
→ Vanguard(バンガード)社のETFを活用した投資信託。
ETFの人気商品トップ3
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SPDR S&P500 ETF(SPY)
→ 世界最大級のS&P500連動ETF。 -
iShares MSCI ACWI ETF(ACWI)
→ 全世界の株式に分散投資できるETF。 -
NEXT FUNDS 日経平均連動型上場投信(1321)
→ 日経平均株価に連動する国内ETF。
投資信託とETFの税制の違い
投資信託とETFの税制はほぼ同じですが、一部異なるポイントがあります。
投資信託の税制
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売却益:20.315%(譲渡益課税)
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分配金:受け取り時に20.315%課税(再投資型なら非課税)
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NISA対応:可能(非課税)
ETFの税制
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売却益:20.315%(譲渡益課税)
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分配金:受け取り時に20.315%課税(自動再投資はできない)
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NISA対応:可能(非課税)
※ NISA・新NISAを利用すると売却益・分配金が非課税になります。
初心者には投資信託とETFどちらがおすすめ?
結論として、投資初心者には投資信託が向いています。
項目 | 投資信託 | ETF |
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少額投資 | ◎(100円~) | △(1口単位) |
売買のしやすさ | ◎(自動積立可能) | △(リアルタイム売買) |
手数料 | △(信託報酬高め) | ◎(信託報酬低め) |
税制優遇 | ◎(NISA対応) | ◎(NISA対応) |
投資信託が向いている人
✅ 少額からコツコツ積み立てたい人
✅ 自動積立で楽に投資したい人
✅ 相場を頻繁にチェックしたくない人
ETFが向いている人
✅ ある程度まとまった資金がある人
✅ 自分で売買タイミングを決めたい人
✅ 低コストで運用したい人
まとめ
投資信託とETFはどちらも魅力的な投資手段ですが、初心者には投資信託が使いやすいです。
一方、ETFは手数料の低さやリアルタイム取引のメリットがあるため、中級者以上には適した選択肢と言えます。
✅ 投資信託は「ほったらかし投資」に向いている
✅ ETFは「低コスト&自分で売買タイミングを決めたい人」に向いている
まずは少額から投資信託で積み立てを始め、慣れてきたらETFにも挑戦するのが賢い選択肢です!
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